犯罪者

2000年12月17日
テレビのニュースを見ていた。
「犯罪やって、つかまったら、本名がこうやって出るんだよな…」
なんて、さりげなく口に出して言ってみた。
するとオカン、
「アンタやめてよ。犯罪者になるわけじゃないでしょ。」
と言う。
俺も、昔はそう思っていた。
親父に
「親ってのは、子供が可愛いんだ。
 もしお前らが犯罪者になっても、かくまうぞ。」
と言われたときも、
「なに言ってんの。そんな事あるわけ無いじゃん。」
と笑ってながしていた。
(そもそも、かくまうことが愛かどうかは…何とも言えないのだが。)
でも、今は違う。
俺は狂っている。
そして、皆、どこかしら狂った一面を持っているはず。
それが表面に出るかどうかということだと思うのだ。
感情が爆発してしまうことだってあるかもしれない。
欲望が理性で抑えきれないこともあるかもしれない。
そうならないようにと思っていても、
そうなってしまうのではないかと恐れているのだ、俺は。
 
 
話を戻そう。
俺は、オカンに言った。
「わかんないじゃん。突発的なもんでしょ。」
「突発的であるわけが無いでしょう。
 全く、従兄弟の奥さんのことじゃないんだからさ。」
オカンは答える。
…従兄弟の奥さん?
何のことだか全くわからなかった。
そもそも、オカンに従兄弟がいたとも考えたことが無かった。
「何?それ。」
「何って。アンタ、忘れちゃったの?」
「…?忘れた?…いや、知らないよ、何、教えてよ。」
オカンは話してくれた。

昔、オカンの従兄弟の奥さんは育児ノイローゼになって、
自分の子供を殺してしまったらしい。
その後、…どれくらい後かは知らないが、
その奥さんは住んでいたマンションの屋上から飛び降りて自殺。
と、そういうことがあったんだそうだ。
俺は、初めてきいた。
「ワイドショーとか、大変だったんだよ。」
…それで何で俺は知らなかったんだろう。
まあ、あの頃はまだ家は裕福だったはずだし、
俺も勉強だけの子だったから知らなくても仕方ないのか。
俺からは少し離れた人の話だし。(家は隣町だったようだが)
 

だが、その前の年、…俺が小学二年生の頃。
祖母が亡くなったときのことは鮮明に覚えている。
祖母はガンで、東京の病院に入院していた。
一時帰宅で、9月15日、自宅に帰ってきて。
それで俺の家族は祖母の家に行っていた。
 
俺は、弟と一階で遊んでいた。
祖母は二階でやすんでいた。
祖母の様子を見に、祖父が二階へとあがったとき、
祖父は叫び声をあげた。
それをきいて、母は二階へとかけつける。
何が起こったのか…とても不安だった。
だが、子供の出る幕ではない。
俺たちは、二階へと行かず、その部屋でおたおたしていた。
 
祖母は毒を飲んだ。
救急車が来て、運ばれていった。
その後、大変だったことを覚えている。
小学生だった頃のことなんて、もう断片的にしか覚えていない。
六年生のときのことでさえ。
中学生の頃のことだって、高校生の頃のことだって、
忘れていることはたくさんある。
だが、あのときのことは、一生忘れないだろう。

 
「なんでおばあちゃん死んじゃったんだろうね。
 生きてたら、きっといいことがあっただろうに…」

そうだろうか。
俺だって、犯罪者になるかもしれないし、
また自殺するかもしれないよ。

…俺は、何も答えなかった。

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